変わった人になりたかった。

私は特別でもなんでもないと気づいたのが一体いつからなのか、私は覚えていない。


中学時代どハマりした響けユーフォニアム。「孤高のトランペット」なんていう肩書きの付いた高坂麗奈とは違う。文学や哲学が特別好きすぎる訳でもないし、かといって理系はどちらかというと苦手な方だ。趣味だってない。強いていえば絵だが、最近は何も思い浮かばないし根本的に下手くそだから取り柄でもなんでもない。他人とのコミュニケーションなんて一生したくない、でも机に長時間向かうのは嫌い


そんな特別ではない私だからこそ、なにか飛び出たものが欲しかった。


"変わった人"というレッテルが欲しかったんだ。


そんな私が選んだのは、メンヘラと呼ばれる人種になることだ。もともと自分のことが好きではなかった私は、その界隈にすぐ順応することが出来た。まあアカウントは作らず裏垢に引きこもって自殺未遂(と一般には呼ばれるが死ぬためには1歩及ばない行為)をしていただけなのだが。


話は飛んで、私が1番苦手なのは人とのかかわり合いだ。ずっとオタクとして過ごしていて、先程言ったメンヘラ界隈にもどっぷり浸かっていた私には、自己肯定感なんて一欠片も残っていなかった。


そんな時に出会ったのはHIPHOPである。

呂布カルマというラッパーをご存知だろうか。高い身長にオールバックとサングラス、かなり角度の付いた眉。最も特徴的なのは、誰とも被らないであろうド派手な柄シャツ。


ここで私はなにかに目覚めた。


コミュニケーションが苦手なら、誰も寄せ付けない見た目になればいいじゃないか。身体全体に蔓延るコンプレックスを柄シャツで隠した。障害者に見えるほど低い身長をヒールで底上げした。自分の汚い顔面を金ラメをあしらったメイクで塗りつぶした。男も女もない見た目になりたかった。ただ、格好良くなりたかった。(ここでは詳しく言わないが、元カレに性的搾取されたせいでもある)


下がりきった自己肯定感を自分の好きなもので隠して気持ちを強化して肩で風を切りながら歩いた。変わった人になりたかった。かっこいい人になりたかった。私は、私になりたかった。

 



じゃあなれたの、って、

 

はは。





凡庸は塗りつぶしても凡庸なんだ。




これ書いてて思ったけど文書くのも向いてねえや。やめよ。